この時期(この記事を書いている1月)、いつも、この不自然さに首を傾げる。
- 学割でスマホを利用しているのが「子供」だけじゃないって本当?
- 学割の手続きとは
- 大人が学割でスマホを使える理由
- 「大人学割」の適用になる「流れ」とは
- 「大人学割」はキャリア公認?
- 大人が学割を適用させる際の注意点
学割でスマホを利用しているのが「子供」だけじゃないって本当?
年末から5月にかけて、携帯電話会社各社で行われる、「学割」という施策である。
お子様が使われるスマホに学割を適用させた事があるという方も、たくさんいらっしゃるでしょう。
いつからか、毎年恒例となった学割施策。かつては1月あたりから3月あたりまで行われていたが、年を追うごとに、それが5月までになり、そして年明け前に発表されるようになり、ついに今年(2021年)は10月から始めているキャリアもあって、一年の半分以上で学割が催されるようになった。8月頃に契約に来られたお客様に「え?!学割やってないの?!」と驚かれるほど、その存在は浸透している。
それは別に構わない。僕が違和感を感じるのは、ここからの話。
例えば、この記事を見て下さっている、40代、50代のご利用者様は、この時期にもしスマートフォンを買い替える事があっても、「私はこの年齢だから学割なんて関係ないわ」と、学割のPOPには目もくれないでしょう。重要事項のご説明の時にも、学割の話は出てこない。
……それでいいんです。それが正しいんです。それが本来の姿です。決して損しているわけではないんです。
ただ、ショップや販売員の現状の話をすると、そこだけでは収まらない話があるんです。
学割適用の年齢じゃないご利用者様でも、学割を適用させて、通常よりも安くご利用されている方がいらっしゃいます。
「どういう事?」と思われている方もいらっしゃると思います。ではまず、そもそも学割というのはどうやって適用させるか、というご説明をします。
学割の手続きとは
携帯電話の契約の際、実際に契約をする『ご契約者』とは別に、その携帯電話を利用する『ご利用者』の登録というのをする事が出来ます。学割の適用条件は、ほとんどのキャリアの場合、『ご契約者様、またはご利用者様が○○歳以下の方の場合』となっています。
例えば15歳のお子様が使われるスマートフォンを契約する時、契約自体はお父様やお母様のご名義で行ない、ご利用者名として、15歳のお子様の名前と生年月日を登録しておけば、ご契約者が40代、50代でも、学割を適用する事が出来るのです。
15歳の方がご契約者となる場合、本人確認書類として定番の免許証を持っていなかったり、保護者の方の同意書や同伴が必要になったり、本体代金分割払いの審査などの都合もあり、ご名義は親御様にして利用者の登録を行なうというお客様のほうが大半です。そのため、『ご利用者』が適用年齢の場合でも適用できるというふうになっています。
※適用条件、適用方法、手続きに必要な書類などは、携帯電話会社によって異なる場合があります。未成年の方がご契約自体出来ないというキャリアもあります。
大人が学割でスマホを使える理由
そして、ここがポイントなんですが、
『ご利用者として登録をしている方が、実際にそのスマホを使っているのかどうかは、携帯電話会社側はわからない』
という事です。当然ずっと見張っているわけにはいかないですからね。
つまり、
『実際は大人の方が使うけど、お子様の名前をご利用者登録して、大人の方がご利用でも学割を適用して安く利用している方がいらっしゃる』
という事です。システム上、そういう事が出来てしまう、という事です。
『そんなのズルいじゃないか!』という方もいらっしゃるでしょう。
では、なぜこのような契約になるのか。そもそも、ご利用者様のほうから「俺が使うけど子供の名前を利用者登録して学割にしたい」という話になるのか、または販売員の方から『お子様のお名前を使えば学割が〜』という提案をするのか。
その答えは……現状『両方ある』です。
「大人学割」の適用になる「流れ」とは
【お客様からの提案】
学割というものがここまで定着しているので、お客様の中には、このような方法で『大人利用での学割』が適用できる事をご存知の方も多いです。直接お客様から「実際は妻が使うんだけど」とおっしゃる場合もありますが、中には、「子供が使う」とおっしゃってお子様の名前を登録し、黙って登録される場合もあります。後者の場合、正直言って我々販売員ではなんとも出来ません。『本当にお子様が使われるんですか?』と疑うようにしつこく聞くことも出来ないのです。
【販売員からの提案】
例えばお客様が「うーん、こんなに高くなるならやっぱり契約止めとこうかなぁ」という状況になった時、どうしても1件の契約がほしいという販売員から『お子様のお名前を登録すれば〜』と提案する事があります。もちろん、皆さん全員に提案できる事ではありません。適用年齢のお子様がおられない方ももちろんいらっしゃいますし、中には、いろんな事情でお子様がいらっしゃらない方もいらっしゃいます。無神経な提案はモラルに反すると、僕は個人的に思っています。
真面目に料金を払ってる側からすると、「そんな要求してくる客なんて」「そんな不平等な提案をする店員が悪い」など、いろんな意見があると思うんですが、僕は、悪いのはお客様でも販売員でもないんじゃないかと思っています。
「大人学割」はキャリア公認?
みなさん、売り場のPOPや店舗のホームページなどで、こんな売り文句を見た事はありませんか?
『学割開催中!0歳から適用可能!』
『学割実施中!5歳から適用可能!』
携帯電話ショップや量販店などで見かけるこのフレーズ。これは、店舗が勝手に言っているだけではなく、キャリアの公式のPOPでもこの文句が見られる事があります。
各社、学割の適用基準は違いますが、『0歳〜22歳』『5歳〜22歳』『0歳〜29歳』などの年齢設定になっています。これは、各キャリアが決めているものです。
そもそも、0歳の赤ちゃんがスマホ使わないですよね?5歳の幼稚園児は、お母さんからアニメの動画とか見せられるのにスマホを使う事はあっても、自分で1台所有する事は無いと思うんですよ。なのに、年齢設定を、『0歳〜』『5歳〜』にしているんです
つまり、これは、携帯電話会社の『確信犯』なんじゃないかと、僕は思うのです。
公に『お子さんを利用者として登録さえすれば親御さんが使ってても学割適用できます』とは、キャリアのホームページなどでは言ってないですが、この年齢設定にしている時点で、ある程度そのような契約は想定内、織り込み済みなのではないかと思うのです。
それが嫌なら、会社自体が年齢設定を、せめて『15歳〜』『中学生以上』と、スマホを使いそうな年齢からの設定にすればいいのです。
……じゃあ……『いいんじゃね?』と、販売員も、お子様連れのお客様など、提案できる場面に関しては、提案をしてしまうのです。
うーん……なんかモヤモヤする。
大人が学割を適用させる際の注意点
とはいえ、「お子様の名前を利用者登録して大人が使う」というこの手続きに関しては、若干のリスクがあります。ここではそのリスク、代表的なもの3つをご説明致します。
①アプリによっては機能に制限がかかる場合がある
SNSやゲームなど、アプリによっては、この『ご利用者登録』を利用してアプリの利用者の年齢を割り出し、機能に制限をかけるものがあります。SNSで言えば「出会いなどで起きるトラブルを防ぐため」、ゲームで言えば「過剰な課金を防ぐため」などが主なものです。
②1名に付き学割が適用出来る回線は1回線まで、というキャリアが多い
つまり、お父さんが安くしたいからとお子さんの名前を利用者登録で使い、その後、そのお子さんが実際にスマホを使うという場面になった時、お子さんのほうは学割が適用できない可能性があります。その場合は、お父さんのスマホの利用者登録を、ショップでの手続きで「本人」などに変更してから、お子さんの分の利用者登録をしなければいけません。
③利用者登録には利用者の名前と生年月日が確認出来る公的書類(保険証など)が必要
ほとんどのキャリアでは、『利用者登録』の処理時、ご利用者の名前と生年月日を証明する書類をスキャナーなどで読み込む事が必要です(お客様の了承を得てスタッフが行なう操作です)。なので契約時に急にこの提案をされても、その時にお子様の保険証などを持っていない場合は、取りに帰ったり、登録が後日になってしまう事があります。一時期はご利用者の『来店』も必要というキャリアもありましたが、詳細は手続き時にご確認下さい。
この学割の理不尽さ……これも今の携帯電話業界の問題点ではないでしょうか。
もちろん、これでご利用者様がおトクにスマホを使えるなら、それに越した事はないですけどね。
うーん、なんかモヤモヤする。