モバ売り屋〜携帯電話販売員の先輩からのココだけの話~

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【携帯販売こぼれ話】かつて強引な販売が状態化していた頃の話〜勘違い販売員の末路

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携帯電話の販売を11年間以上やってきて、実際に起きた事を、携帯電話ご利用者の方にも、販売員の仕事をしている、または考えている方にもご紹介する、『携帯販売こぼれ話』。

今回は、かつて、お客様への『強引な販売の勧誘』が一部で蔓延化していた頃の話です。

それは、『販売員だからといって、売れさえすればそれでいい』という考えは間違えている、という教訓のような話。

●2つの会社が合併

ある日、突然発表されたのが、A社とB社の合併。僕はA社の販売員として勤めていたが、そのニュースは、忘れもしない、公休日のゲームセンターの中で、スマホのネットニュースで知った。急いで派遣会社の上司に連絡したが、その上司も知らなかった様子。

何より驚いた、というかいろいろな意味で衝撃だったのが、「B社との合併」という点だった。

当時、A社は、基本料金も本体代金も安くて、お子様にも手軽にケータイを持たせる事が出来ると、とても評判のいい会社だった。他社のスマホを持った社会人が、仕事用にA社のケータイを持つ、いわゆる「2台持ち」の利用者も多く見られた。会社のイメージとしても、決して悪いものではなかった。

対するB社は、それはそれはご利用者様からのイメージが悪かった。モバイルWi-Fiルーターの販売を主にしていたが、不要な高齢者の方にも『(本体代金)0円ですよ!』と、毎月の基本料金の説明をまともにせずに契約をさせていた、という悪質な例も聞かれていた。

当時働いていた量販店では、B社の常勤スタッフはいなかったが、1日だけB社が5、6人のスタッフを集め、販売イベントを開いた。その際、12台売れたが、うち6台が後日、クレームでキャンセルとなった。

もちろんその時、B社の販売員は店舗にいないため、量販店社員様が対応に追われた。その過酷さ故、B社が事実上の出入り禁止となっていた。

そんな会社と自分の会社が合併……いい気がするわけがない。

●旧A社と旧B社の合同研修

合併が決まった頃、元A社販売員と、元B社販売員の合同での研修会が行われた。

その研修を仕切っているのが、元B社の指導員たちだった。そこで僕はすぐに気付いた。

「B社が実権を握ったんだな」

そして、その研修のテーマが、

『1台購入希望のお客様を、いかに、複数台契約に誘導するか』

もちろん、今でも、ご家族の方のヒアリングなどをして、「強引にならない程度で」複数台のご提案をする事はある。

しかしそれはあまりにも直接的な研修テーマ…

その後半に行われたグループディスカッションのテーマは、

『1台だけ契約に来たお客様に、最大、何台まで契約させる事ができるか?そしてその料金は?』

というものだった。その研修で僕が入っていたグループ(6名)にも、1名、旧B社のスタッフがいた、あたかも、『旧A社に、旧B社のやり方を教えてやれ』と、鳴り物入りで送り込まれた『刺客』のようだった。

『奥様と、小学生のお子様との3人暮らしの社会人』というお客様設定で、最大何台まで勧められるか、グループディスカッションが始まった。

いや、これはグループディスカッションと言えるのか?旧B社の販売員が、一方的に仕切り始め、一方的に、紙に書き始めた。我々旧A社スタッフは、ただ見ているだけだった。

旧B社販売員『まずはご本人のスマホ。そして、奥様と、お子様のスマホ。さらに、ルーターは1人1台、スマホを存分にお使い頂くためには必ず必要です。そして、今B社でオススメしているタブレット、これも1人1台必要ですよね。これで、とりあえず9台は確実に案内できます。その日の売上が、9台上がりますね』

旧A社販売員『……』

およそ30秒で1台の契約が9台になった。もちろん、1台でも多く販売することは、我々販売員の使命だ。しかし、それにしてもこれは……。

●加速する旧B社スタッフの暴走

そんな5人の旧A社スタッフの『……』をまるで下に見るかのように、旧B社スタッフは遠慮なく続けた。

旧B社販売員『それから、ご本人と奥様にも、お父さんお母さんはいますよね。それぞれにもスマホは必要です。これでプラス4台。お父さんお母さんのルーターは、各家庭1台ずつでいいでしょう。これでプラス2台。合計で、15台の案内は、最低でも可能です』

そこまで話すと旧B社スタッフは、ドヤ顔で回りの旧A社スタッフを見回した。A社スタッフの『……』を見て、B社スタッフのドヤ顔はさらに加速度を増す。

『ディスカッションの時間がないので、このへんで料金の計算をしましょう』

と、先に進めようとする旧B社スタッフを、僕は真正面から見ていた。僕は完全に冷めた目で、『まぁ、どうなるか見ていよう』と、ただただ観察しようとしていた。

するとそこで、旧A社の女性スタッフの1人が、料金の計算を始めようとする旧B社スタッフに、ぼそっとこう言った。

『小学生のお子さんに、1人で、スマホもルーターも、タブレットも、3台も、必要ですかね?』

全くごもっともなご意見。しかし、この旧B社スタッフにはそんな正論は通じないだろうと、はじめから諦めて僕は黙っていた。

しかし、その女性スタッフのその一言に、他の旧A社スタッフは皆頷いた。さすがに提案の域を超えていると。しかし、そう言われた旧B社スタッフは、まさに旧B社から送り込まれた刺客としてふさわしく、声を大きくしてこう言い放ったのだ。

『あのね!我々販売員は、1台でも多く販売する事が使命なんですよ!!お客様に断られても、1台でも多く提案し続けて、お客様が頷くまで、熱意を持って提案するのが仕事なんですよ!!!』

僕の内心(あぁあ、言っちゃった)

「お客様に断られても」の部分は、完全に電気通信事業法違反。今の時代なら完全にアウト、いや、当時からアウトだが、まだまだそのような悪質な販売は潜在していた。

旧A社スタッフ一同は完全に諦めた。もうこのディスカッションはこの人の自由にやってもらおう。ドヤ顔披露の場でもなんでもいい。静かに研修が終わるのを待っていよう、と。

しかし、このあと、状況が一変する。

●旧B社スタッフに欠けていたものは

旧B社スタッフが料金の計算をし始めた。

『スマホの基本料金は○○円、それが3台で計○○円。ルーターは……タブレットは……』
『お父様お母様のスマホは……ルーターは……』

その計算を見て、僕は再度(あぁあ……)と思った。こんな事だろうと思ったと。

『これで、合計○○○円で、ご利用いただけますね』

と計算を終えた旧B社スタッフのドヤ顔。しかし、ここで旧A社の1人が『あのぉ…』と口火を切った。

旧A社①『ここの割引は、こっちで適用してるから、適用できませんよ』

旧B社『……?!』

旧A社②『あと、ここは、この割引が適用できるのに、この計算では適用されてませんね』

旧B社『……?!?!』

旧A社③『ここはそもそも金額が間違えてます』
旧A社④『ここはシンプルに足し算が間違ってますよ』

旧B社『?!?!?!』

………そう、このスタッフは、提案するだけして、最低限出来るはずの料金の計算が、全く出来なかったのだ。

他にも『ここも』『ここも』と計算違いが出てきて、この紙に書かれた提案内容や料金計算は、全く使い物にならない事を知った。

そして最後には、旧A社スタッフが、

旧A社①『ちょっと、急いで最初からやり直しましょうか』

旧B社『?!?!……………(がーーーん……)』

……旧A社スタッフ一同で提案方法や計算をやり直している間、旧B社のそのスタッフが、死んだ魚のような目をしているのを、僕は真正面から見ていました。

●あくまで以前の話です

この販売員は、「売れと言われたからとにかく売らなきゃいけない」という一心の下、お客様のお気持ちを考えるという事を忘れてしまい、それが、提案の強引さや料金案内の杜撰さに出てしまったようです。

上記で話した内容は、あくまでも、7年か8年くらい前の話です。今では、強引な提案や、高齢者への強引な販売は、強く禁止されていますし、総務省からの監視も厳しくなっています。キャリアが行う研修が、このようなテーマで行われることもないでしょう。

しかし、残念ながら今でも、店舗単位では、『店舗の実績をあげるため』の強引な販売が、撲滅されたという事はありません。

これをお読み頂いたご利用者の皆様は、販売スタッフの強引な勧誘に取り込まれないようご注意頂くとともに、同じくこれをお読み頂いた販売員の皆様は、上記のような『売るだけ売って説明や案内は間違う』というような『残念な販売員』にはならないよう、日々、勉強に勤しんでいただきたいと思っております。

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